
Mantra 石渡 祥之佑様 (Founders Program の卒業後)
July 30, 2021
Mantra はマンガに特化した機械翻訳技術を駆使し、世界の言葉でマンガを届けるソリューションを提供しているスタートアップです。
今回のインタビューでは、FoundX 卒業後の近況や FoundX での経験の活かされ方などお伺いできればと思います。
石渡: 何でも聞いてください!
Mantra
まずは事業について教えてください
― FoundX 卒業から 1 年半経ちます。チームや事業にはどんな変化がありましたか?
石渡:
チームメンバーは増えました。
FoundX にいた時はフルタイムが 3 人だったのが、いまは 5 人になりました。
パートタイムのエンジニアも入れると13人です。
フルタイムのメンバーはビジネスサイドが増えて、パートタイムはみんなエンジニアです。
全員リモートなので一か所に集まって大家族という雰囲気はまだありませんが、それでもチームが大きくなったのは感じます。
― 事業はいかがでしょう?
石渡: 事業の変化としては、卒業後すぐにビジネスを法人向けに切り替え、「Mantra Engine」というサービスをローンチしました。これは出版社や漫画アプリの会社に向けた漫画の機械翻訳クラウドサービスです。
現在はまた別の新しい To C 向けのサービスをスタートしました。漫画で外国語を学習できる Langaku というサービスで、それの β テストをまさにやっているところです。
卒業のタイミングではレベニューゼロだったことを考えると、一番大きな違いは「ちゃんとお金を払ってくれるお客さんがいて売上が少しでもあること」と言えるかもしれないですね。
卒業後のビジネス・事業の成長と、起業家としての自分の成長を教えてください。
石渡:
ビジネス面は先ほど話した通り、ちゃんとお客さんがいることですね。
もちろんまだまだ初期ではありますが、ひとつ成長した点といえるかなと。
僕自身は、ちょっとメンタルが強くなったと思います。
バチバチに脳のリソースを持っていかれるような交渉事が起きますよね。そういうのがあっても、一回目より二回目、二回目より三回目の方が楽だなと感じます。
だいたいこれくらいの時間やリソースでさばけるだろうみたいな慣れもありますね。
あとは、「いったん置いておく」ことができるようになりました。
以前は全然そういうことができなかったんです、懸念事項に脳を支配されてしまって。
いまは意識的に、いったん置いといて日曜は休もう、と考えられるようになってきました。別に日曜日悩んでも悩まなくても結果は変わらないじゃん、と。
― 事業の成長と共にストレスの量は増えますよね。
石渡: ストレスは量だけでなく種類も増えてきましたね。こんなことも考えないといけない、あんなことも考えなきゃと、と。
これからメンバーが増えるとメンバーのマネジメントも考えないといけないなって想像してます。困ったら Founders の同期だった小倉さんに相談しようと思います。いつも悩みがあれば小倉さんに相談しているので…
― 困ったときに誰かに相談できる環境は大切ですよね。チーム内でもそういった機会はあるんでしょうか?
石渡: ふたつきに一回、「不安解消デー」を設けています。
リモートワークのストレスや不安って、目に見えないところでじんわりメンタルを削っていく感じがあるじゃないですか。
毎日は会えないことでメンバー同士が疎遠になり不安がふくらんでいることを、自分も仲間も認識していたんですよね。
そこで、一日すべての予定をブロックして、全員が現在抱えている不安を共有して解決方法を議論する、という取組みを始めました。
丸一日、絶対それしかやらない日を作るんです。議論によって悩みの解決策が出ればよし。出なくても悩みの共有によって少し気が楽になる。この取り組みが結構効いてます。
― どんな不安があがってきますか?
石渡さん エンジニアリングリソースの最適な配分、多忙な時期が続いて精神的な疲労が溜まっている、お客さんに提案できるソリューションが見つからない…など、いろいろあります。
― 普段は気軽に相談しづらいことでも、そのための時間が用意されていることで共有のハードルが低くなっていそうですね。
卒業してからわかる FoundX の良さはありますか?
― FoundXが提供するのは、資金ではなく起業家コミュニティやサポーターネットワークです。こういったものは、卒業後も役に立っていますでしょうか。
石渡: けっこうありますね。
Founders 時代の同期とは悩みを共有できるチームメイトとして当然話すのですが、思いのほか Founders の時にはそんなに関わりなかったのに卒業後に話すようになったひとがいます。
たとえば、冒頭でメンバーが増えた話をしましたが、人を雇うとなったらまず相談しているのが以前僕がインタビューに協力してあげた FoundX サポーターの方なんですよね。
それまでは業務委託のエンジニアなどに知り合いを雇っていて、一般的な採用プロセスがまったくわからなかったんです。
そこでその方に相談したら、めちゃくちゃすごいスピードでいい人を大量に紹介してくださって。
それだけでなく、よいエンジニアの探し方や、面接のやり方、事前課題の設計などまるっと教えていただきました。
あとは Pre-Founders 卒業生の Paper Digest 高野さん。業界やグローバルなマーケットを見ているという点で僕たちと似ていて悩みを共有できるところもあるので、いろいろ教えてもらったりします。
― 特に印象に残っているエピソードはありますか?
石渡: 事業への影響が直接的だったのは、先述の Langaku に繋がるご縁を卒業後に紹介いただいたことですね。
Founders 時に、FoundX の紹介でお会いした方が、集英社の方のお知り合いでした。その時点では集英社さんに対してお役に立てる提案ができていませんでした。
でも後になって、そのとき繋いでいただいた集英社の方と再会する機会があり、それが Langaku プロジェクトに繋がりました。
新しい事業の種が、FoundX にいたときに生まれていたんです。
…といったご縁が色々あるので、FoundXでのネットワークが卒業後も役に立っています。
― 卒業後も FoundX のコミュニティを活用いただいているんですね!
FoundX でのアクティビティで、いまも役立っているものはありますか?
石渡:
リズム作りですね。
FoundX でやっていた、毎週目標を定めて週次でそれをレビューするというのはいまでも全員が参加するミーティングでやっています。
あとはティータイムもよかったです。
- FoundX オフィスにいる全員が、時間を決めてみんなで休憩をとる取組みですね。※現在は休止しています
石渡: ティータイムは本当によかったなと思っていて。
コミュニティの濃度が薄くなっちゃうというのはどのコミュニティも感じている課題だと思います。
FoundX のティータイムを現在入居しているオフィスに紹介したら、「是非やってみましょう!」という話になってこっちでも始まりました。
それでは最後に、これから起業や FoundX への参加を検討されてる方にメッセージをお願いします!
石渡: 起業を検討している人へのメッセージは、「まずはFoundXに応募してみよう!」ですね。笑
大学在学時から FoundX 卒業後のいままで様々なプログラムや起業家コミュニティに参加していますが、FoundX ほど参加者同士がプログラム期間中だけじゃなくて卒業してからも助け合えるような仕組みができていて、かつこれほどにそういう気持ちが強い人が集まっている場所はそんなにないんじゃないかなという気がします。
FoundX に参加すると、FoundX Values の Pay it forward (恩送りをしよう)という価値観にめちゃくちゃ感化されるんです。
「恩送りをする」精神って世の中一般としては当たり前のことじゃないですよね。だけど僕らは何も知らない赤ちゃんのような状態から FoundX に参加して感化される。
FoundX はそんな価値観に共感できるひとが集まっているコミュニティだと思います。
- FoundX には 3 つの Values と 5 つの Way があり、プログラム内で振り返りの機会を頻繁に設けています。これらに共感するひとが集まっていることは、FoundX の特長のひとつと言えそうですね。
ところで、このインタビューをご覧のみなさんに石渡さんからお願いがあると伺っています。
石渡:
Mantra ではマンガで英語を学習できるサービス「Langaku」のテストユーザーを募集しています。なかなか続けにくい英語学習を、マンガで楽しく続けられるサービスです。
是非みなさん登録してフィードバックをください!
特に、現在英語を勉強している、もしくは英語の勉強に意欲的な方は楽しく使っていただけると思います。
https://mantra.co.jp/langaku
- 新規事業に取り組み続ける Mantra さん、今後の成長も楽しみにしています!
Mantra について
Mantra は、FoundX の Founders Program に 2019 年 4 月から 2019 年 12 月まで在籍しました。
Mantra に関する情報はオフィシャルウェブサイトをご覧ください。
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東京大学 FoundX の各種プログラム
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