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Catalab 織田さん(水素製造)
織田さん(水素製造)

Startup Studio では、ご専門は問わず大きな課題に挑戦したい方を募集しています。その挑戦はどのようなものなのか、参加されていた Catalab の織田さんに、起業の経緯や Studio プログラムの感想について伺いました。織田さんはもともと電気自動車のバッテリーの開発をされていましたが、現在は水素製造のための触媒を活用した事業を検討しています。
目次
織田さん(水素製造)現在考えている事業内容を教えてください起業の経緯を教えてくださいStudio Program に参加した感想を教えて下さい最初期の事業立ち上げで困ったことは?Studio Program で得られた支援で良かった点今後の展望
現在考えている事業内容を教えてください
水電解技術を活用した安価なグリーン水素製造を行うための次世代の触媒材料を活かした事業を考えています。もともとは、材料を製造するようなことを考えていましたが、 FoundX に入ってからはそういう事業は小さくなりがちであったり、優位性を保つのが難しかったりするのではとアドバイスを受け、現在は事業を広げていくことを考えているところです。
- 2026 年 2 月追記
FoundX で受けたアドバイスを下に経済性分析と顧客面談をして、実用化を目指す技術をピボットしました。通常の水電解の課題を検証し、電力使用量に着目して、二酸化硫黄を活用した低電力の水素製造システムの開発へ方針を変えました。
起業の経緯を教えてください
もともと脱炭素化に取り組もうと思った原点は、祖父母の家の前にある火力発電所の存在が大きいです。幼い頃から、社会を支えるエネルギーが環境を汚してしまっていることを感じてきました。だからこそ、状況を変えたいと考えていました。
その想いから、学士課程では再生エネルギーをやろうと考えて機械工学を専攻しました。ただ、学ぶうちに課題は「再エネを作る側」だけではなく、「使いたいときに、使いたいように使えること」にあると気づきました。そこで、卒業後は自動車会社に就職し、電気自動車のバッテリーパックの研究に従事しました。
研究に取り組む中で、今度は電池自体の性能がまだ足りていないと感じ、より深く研究するために修士課程へ進学しました。その頃から起業を本格的に検討し始め、電池と触媒材料の両面から可能性を探りました。最終的に、より実用化が早いという判断から、触媒材料での起業を選択しました。
現在は、触媒材料の開発そのものをゴールとするのではなく、「いかに安く水素を作れるか」に主眼を置いています。触媒やシステムはあくまで目的を達成するためのツールに過ぎません。目標達成のために、より柔軟な思考でこの課題に向き合っていきたいと考えています。
Studio Program に参加した感想を教えて下さい
FoundX からは 1 からアイデアをもらったわけではないのですが、Startup Studio の定例ミーティングでどうやってアイデアを拡大していくかを議論する中で、もともと考えていた触媒材料の販売をどう事業として大きくしていけるかという点について都度フィードバックをもらえてありがたいと思いました。「材料があります、これを使って何か事業がしたいです」というところからアイデアがはじまりましたが、具体的にイメージをつかめてきている感じがあります。
また、私は研究側からきているので、事業を研究の視点から見てしまうことが多いのですが、事業視点で考えるとどうか、といったヒントをもらっている感覚があります。
最初期の事業立ち上げで困ったことは?
起業を決めた時は、研究室の先生と話して「こういう研究を使ってもいいけど興味ある?」という話が出たくらいの段階でした。そのため、これで事業ができるのか、事業をやるならどういうことが必要なのかわからないという段階で、研究成果はあっても、事業化するにはどうすればいいのかは全くわかっていませんでした。
そこでアクセラレータープログラムなどに出てみて、ジェネラルなビジネスに関連した情報を得ました。ただ他の参加者には B to C のアプリや SaaS などの領域が多く、Deep Tech に関する具体的な課題、例えばもう少し開発が必要な場合はどうするか、B to B の顧客インタビューはどう行うかというところはなかなか見えてきませんでした。 Y Combinator の Startup School も観ましたが、どちらかというと B to C 向けの内容が多くかつシリコンバレー系なので、Deep Tech についてはあまりリソースがないという感覚でした。
Studio Program で得られた支援で良かった点
自分にとってよかったところは3つあります。一点目は、そもそも Deep Tech 関係で分からないことが多い中、リソース、前例、参考になる読み物などの紹介が多いことです。二点目は、感覚の調整や方向性の正しさに対する細かいフィードバックがあること。三点目は、似たような問題を抱えている人がいるコミュニティなので、共感ができることです。参加者はそれぞれいろいろな経験をしている人達なので、参考になる事例を聞けたり、自分の悩んでいることをとりあえず話してみるとこうするといいんじゃないかとアイデアをもらえたりします。
FoundX の Studio Program では、他の参加者も含めて「事業をつくります、やりきります」という感覚が当たり前ですが、他のところでアイデアを話すと、「そもそも大丈夫なのか、できるのか」と言われることが多くあります。FoundX にいることで、事業になにか問題があったときに、事業自体をやめてしまうのではなく、解決策を見つけて続けるべきだというふうに自分自身の前提が変化したように思います。
今後の展望
引き続き、安価な水素製造に向けて、触媒開発の技術をやっていこうと考えています。今は、できるだけ早い段階で実機での評価ができる PoC や、シード資金獲得のために設定したマイルストーンの実行に向けて補助金などを調達しています。
その先としては、継続的に優位性を持てる方向で事業を展開していきたいと考えており、早い段階から水素製造全体のシステムに関わっていくのか、もしくは別の展望を見つけるかを検証していこうと思っています。
- 2026 年 2 月追記
スケールアップという方向性は維持しつつも、現在は開発するシステム自体をアップデートさせています。いまは早い段階から顧客を見つけることに着目し、並行して積極的なヒアリングを進めている段階です。また、着実なスケールアップを実現するため、より高付加価値な活用先の検証にも注力しています。