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野村さん(地熱発電)
野村さん(地熱発電)
Startup Studio では、ご専門は問わず大きな課題に挑戦したい方を募集しています。そのため、ご自身がもともと持っていた領域の知識やスキルではない領域に取り組む参加者の方もいらっしゃいます。
その挑戦はどのようなものなのか、参加されている Quon Energy の野村さんに起業の経緯や Studio プログラムの感想について伺いました。野村さんはもともと水産業界のソフトウェアエンジニアでしたが、現在は地熱発電領域での起業を目指してアイデアを検討されています。
目次
野村さん(地熱発電)現在考えている事業内容を教えてください起業の経緯を教えてくださいFoundX の Studio Program に参加した感想を教えてください事業立ち上げの最初に困ったことは何ですか?Studio プログラムで得られた支援で良かったことを教えてください今後の展望を教えてください
現在考えている事業内容を教えてください
今は地熱発電の領域の事業を考えています。地熱発電は、持続可能でコスト競争力もあると思われていますが、実はあまり普及していません。その理由の一つでもある「自然条件への依存度が高い」という課題を、テクノロジーを用いて人工的に解決して生産量を上げたり、今までできなかった場所の地熱で発電できるようにしたりする事を目指しています。
起業の経緯を教えてください
学生時代については、学士の時は海岸工学、修士の時は水文学を学んでいたので、地熱発電に直接関係することはやってきませんでした。ただ、私が学生時代からずっと考えている事は、人間生活にとって根幹をなすもの、例えば食糧やエネルギーをテクノロジーを使って持続可能なものにしていくことなので、意思決定はそれを軸に考えています。
学生のころから起業したいと考えていたのですが、その前に勉強として就職しました。当時は食糧の領域に関心があったので、魚の養殖に関する企業で3年半ほど働いた後そろそろ自分でやりたいと思うようになり、当初は農業の領域での起業を考えました。実は私の専門は、元々画像処理やAIだったので、その技術を活かせるかなという思いもあり農業を選んだのですが、その当時気になっていた技術はまだ研究開発段階で事業にするには早いものだったり、作ろうと考えていたプロダクトは研究者にしかニーズがなかったりするということがアイデアを具体化していく中でわかりました。そこで自分の興味から考えるだけでなく、世の中の大きな課題を狙っていかないとスケールしないなと思い始めました。
そして地球温暖化に寄与する割合として一番大きなセクターのエネルギー領域の中で、自分が一番可能性を感じつつ、学生の時に触れてきた研究領域にも近かったということで選んだのが地熱でした。
この選択は自分にとって大きいターニングポイントでしたが、自分のできることに縛られて大きい事が出来ないのは損ですし、例えば宇宙系のバックグラウンドがなくても宇宙事業に取り組んでいる人もいて、その分野と全然関係ない仕事をやってきた人でもいろいろな人や専門家を巻き込めばアイデアを実現できるんじゃないかと思っていたので、地熱領域に飛び込みました。
FoundX の Studio Program に参加した感想を教えてください
最初は地熱について知識がない状態だったので、馬田さんから情報をいただいたり、事業の方向性について自分と違う角度からの将来像や戦略をご提案いただいたりしたことはありがたかったです。
また、アイデアを探索し始めた頃は地熱に詳しい人と話すことで得られるものが大きく、VCの方など詳しい方をご紹介いただき、話す機会をいただいたことは助かりました。
事業立ち上げの最初に困ったことは何ですか?
専門家を巻き込むために勉強をすることが大変でした。地熱に関してはドメイン知識があまりない状況だったので、勉強をするところからスタートしました。アイデアを実現するには専門家を巻き込むことが必要ですが、その専門家の立場に立つと地熱のことを全く知らない人がいきなり相談してきても受け入れづらいだろうということは想像できます。だからある程度知識をつけて相手にとってもメリットを提示できるようにならないといけないと思いました。
少し勉強をして、「地熱について少しわかる個人」の状態から「地熱の専門家を巻き込んで地熱領域に詳しいチーム」にして、補助金を取って・・・とゼロから1にしてそれを大きくしていく大変さもありました。企業の中で働いていて考えることは、すでにあるリソースをどう配分するかが中心なので、その違いがあったかと思います。起業を考え始めた当初はそのマインドがなかったので研究者一人にヒアリングするのにも疲れていました。ただ、Studio に参加する前に行っていた別のプログラムの1年間で、「最初は何もないんだ」 という感覚を掴めてからはわりとスムーズでしたね。
Studio プログラムで得られた支援で良かったことを教えてください
同じフェーズの起業家の仲間がいる環境が一番ありがたいと思っています。相談ができたり、メンタル面のサポートやモチベーションの刺激にもなったりするので、個人的にはとても大きいです。
また、毎週のミーティングは、自分のリズムづくりにもなりますし、共同創業者のいない段階でもいろいろな方の意見を聞くことができます。一人で起業準備を行っていたら VC や事業会社にヒアリングして方向を修正することになりますが、FoundX のミーティングで話すことで仲間内で早めに修正ができるので、事業の方向性の修正の時間短縮につながると思います。
今後の展望を教えてください
地熱の領域では、国のサポートも手厚いこともあってか、アメリカのスタートアップが多く出てきていて、あまりゆっくりしていられない状況にあります。一方、日本は規制が厳しく、温泉産業もある国なので新たな技術が試しづらい環境にあるので、海外を含めて技術検証や実証をスピード感を持って進めていきたいと考えています。