神垣 貴晶様 (Fellows Program)

August 22, 2022

現在のアイデアについて簡単に教えてください。

アイデア自体は、触れないものに触れるようにすること。

超音波を使ってこれを実現しようとしていますが、特に取り組んでいる点は2点あります。ひとつは超音波でいろいろな触感を再現すること、もうひとつはデバイス自体の開発です。

今まで振り返って一番困難だった点はどのようなものでしょうか?それはどうやって解決しましたか?

技術をどのような用途に応用するか、それを探すことが難しかったです。

解決した方法はやっぱりヒアリングで、実際にいまあるものを触ってもらってどれくらいウケがいいかをみました。ヒアリングは20〜30人くらいに行ったと思います。

ヒアリングについて

なぜヒアリングの最初の一歩目を乗り越えることができたのでしょうか。

ヒアリングは、もうやるしかないと思ってやっていました。

文面づくりやメール、ミーティングなどに時間がかかるので最初は面倒だと思っていましたが、研究室にいるだけだとお客様からどのような反応があるのかわからないので、ヒアリングを通じていろいろなご意見を伺うことが必要だと考えています。 私は触覚に関するプロダクトに取り組んでいますが、これは実際に触って体験してもらわないとお客様にとっても欲しいかどうかの判断が難しいだろうと思うので、体験してもらってヒアリングをすることが重要だと思います。

ヒアリングはどういう面で大事でしたか?

ヒアリングを行う前は、本当に顧客がいるのか懐疑心がありました。 ただ、欲しがる人はいないのかもしれないと思いつつもヒアリングを進めると、意外と使える場面があるかもしれないということが分かってきました。

ヒアリングの前と後で変わったものは何ですか?

ヒアリングを行うための問い合わせに対する閾値は下がりました。以前は問い合わせを面倒だと思ってなかなか行動できずにいましたが、まず行動してみようと考えるようになりました。

ヒアリングを通じて自分自身のマインドも変わって、触覚のプロダクトを欲しいと思う方もいる、と思うようになりました。

ヒアリングで得た重要な気付きはありますか?

実際に触って体験してもらうことが重要だということです。

ヒアリングの中で、私たちがこういう感覚なんじゃないかと考えていることに対して違った感想を寄せていただいたり、アイデアを出していただいたりして、それがとても参考になりました。

今回採択された助成金には、アイデアのどのような点が評価されたとお考えでしょうか。

正直何が評価されたのかはわからないんですよね。

現在、触覚関係の会社を興そうとしているところで、社会としていまからXRが流行り始めるだろう、そうなると触覚の情報も重要になってくる、と社会的な情勢に合うところが評価されたのかなと思います。 また、応募書類に熱意を書くことが求められたので、ヒアリングしたことやその結果、FoundX に参加していることを書きました。そのため事業化に向けて実際に行動しているということが伝わったのではないかと思います。

助成金獲得に向けて活用したものや役に立ったものはありますか?

FoundX のスタッフの方との壁打ちで、次にすることの指針を一緒に立てました。そのなかでヒアリング相手をお繋ぎいただくこともありました。

また、FoundX の定例ミーティングで他の参加者のお話を伺う中で、こういうやり方があるんだとか、こういう戦略を立てるのかとか、参考にさせていただける部分は大きかったと思います。

FoundX に応募された経緯について教えていただいてもよろしいでしょうか。

Fellows Program に参加していた同じ研究室の友人の紹介です。

FoundX に参加する前にも大学内のプログラムに参加していましたがそのプログラムが終了し、将来的には事業化をしたいと思いつつも、開発に集中するのか、それとも技術を応用したアプリケーションを見せてヒアリングをしていくのかを迷っていました。 そのようなときに、友人から FoundX のプログラムの壁打ちが良いとおすすめされました。いま入ってもタイミングがあうかどうか不安でしたが、友人から「入れるのであれば入ってみたら?」と言われて応募しました。

プログラムの中で特に良かった点がもしあれば教えてください。

スタッフとの壁打ちやヒアリング相手の紹介、他の会社で一歩先に進んでいる方との交流です。

壁打ちで良かった点は何ですか?

現状を共有して、方向を決める相談ができたことが特に良かったと感じます。

事業化のためのチームはありますが、ビジネス側を担当しているのは私しかおらず、他のメンバーと開発を一緒に行うことがあっても、問い合わせメールや書類作成は基本的には私が行います。 自分だけだと事業のアイデアの話が膨らまないのですが研究室の中に相談する人もいないので、FoundX で相談できたことは大きかったと思います。自分ひとりで考えるだけだと局所的な部分しか見えづらくなってしまいますが、そことは違う視点を提示いただいたと思います。

ヒアリング相手の紹介で良かった点は何ですか?

他のスポットコンサルサービスを利用したこともありましたが、それらは自分でフィットしそうな方を探す工程が発生しますし、期待していた内容を聞けなかったこともありました。

FoundX 経由での紹介の場合はスタッフの方がアイデアをおおよそわかっているため、ヒアリングしたい内容を聞ける相手を短時間で紹介いただいたことが良かったと感じます。

交流について良かった点は何ですか?

定例ミーティングや Donuts ミーティング(※)で他の参加者と顔見知りになることができました。今後困ったことや相談したいことが出てきたときに、聞いてみることができるようになったのかなと思います。

※注: Donuts ミーティングは、参加者間で行う30分ほどの雑談ミーティングです。月に一度ほど任意参加のプログラムとして行います。

今後、プログラムに期待する点を教えていただけないでしょうか?

満足していたので、ぱっとは思いつきませんが、Fellows Program に参加する方が増えたらいいなと思います。

Fellows Program はどんな方へおすすめでしょうか?

起業する前で、起業を考えている方におすすめです。

もし研究者でおもしろそうなことをしているのであれば、参加したほうがよいのではと思いますが、研究者でなくとも、普通に会社で働いている方でもいいと思います。

FoundX の関連コンテンツ

東京大学 FoundX の各種プログラム

  • Founders Program - 無償の個室提供と各種起業支援プログラム
  • Fellows Program - 起業のアイデアを見つけるための支援を行うプログラム
  • Supporters Program - 起業はしないけれど、スタートアップを支援したい東大卒業生のコミュニティ

起業について学びたい