atama plus株式会社 稲田 大輔様 (2006年修士卒)
現在の所属と肩書
atama plus株式会社 代表取締役
卒業(修了)した学部(研究科)・学科(専攻)・年
- 2004年工学部電子情報学科卒業
- 2006年情報理工学系研究科修了
現在の事業について簡単に教えてください
中高生一人ひとりにあった教育を作るAI先生「atama+」の開発および提供
起業のアイデアに至るまでのエピソードを簡単に教えてください
学生時代から「国民総笑顔量を増やす」ことをしたいと思っており、たくさんの人の笑顔を増やすためには「仕組み」を作る、即ち事業を創ることが必要と考え三井物産に入社しました。三井物産では数々の新規事業を立ち上げた一方で、「笑顔を増やす」ことには貢献できていないと感じていました。
悩みぬいた末、幸せの原点を探るべく、当時『あなたは幸せですか?』と聞いて『幸せです』と答える人が最も多いと言われていたブラジルへ、社内留学制度を利用して行きました。ブラジル人家庭、学校、宗教、恋愛、カーニバル等、ブラジルの文化にどっぷりと浸かる中で気づいたのは、日本人とブラジル人とでは自己表現力に違いがある、そしてそれは幼少期の過ごし方の影響が大きいということです。日本人は基礎学力のレベルは高いものの、そのインプットに大半の時間を割いているため、なかなか自己表現力やコミュニケーション力などの「社会でいきる力」を身につける時間や機会が少ないのではと感じました。
カギは「教育」にあるのでは考え、三井物産にて教育事業を立ち上げ、ブラジルでベネッセと合弁会社を設立したり、EdTechスタートアップへの投資等を行いました。その中で、日本ではまだ普及していなかったテクノロジーを活用した教育に可能性を感じたことから、AIを活用することで「基礎学力」の習得にかかる時間を短縮し、その分増えた時間で「社会でいきる力」を身につけられるのではと考え、大学時代の友人たちに声をかけて一緒に起業することを決めました。
共同創業者とどのように出会い、なぜ共同創業をすることになったのかを教えてください
大学時代の同級生2人と一緒に共同創業しました。その1人の中下はテニスサークル「WEEKEND」での同級生。リクルートでリクルート中国の社長等を務めていました。もう1人の川原は工学部電子情報学科での同級生。9歳からプログラミングをしているという生粋のエンジニアで、MicrosoftでHotmailの開発等を行っていました。起業の決断をした際に、自分の人生の中で最も信頼でき、かつビジネス、エンジニアそれぞれの領域で最も優秀だと思う2人に声をかけました。友人との共同創業はやめなさい、と多くのベンチャーキャピタルから言われましたが、最も信頼できて背中を任せられる彼らと一緒に起業して本当に良かったと思っています。
起業前や起業後で参考になった/今も参考にしている書籍・情報源・記事などがあれば教えてください
将来の東大卒業生起業家に向けて、応援のメッセージをお願いします
起業には、心底情熱を持って取り組めるテーマを見つけることが一番大事だと思います。起業はそれを実現するための手段なので、人生賭けるテーマを見つけることにしっかりと時間をかけて向き合ってください。僕は35年かけて、「教育を通じて社会を変える、そして自分の人生を生きる人を増やす」というテーマに辿り着きました。強い想いがあれば、色々な人が応援してくれますし、困難があっても乗り越えられます。そして何より取り組んでいてとてもワクワクします。皆さんにもそんな情熱を持てるテーマを見つけて取り組んでほしいなと思います。
プロフィール
2006年東京大学大学院情報理工学系研究科修了(第1期アントレプレナー道場優秀賞受賞)後、三井物産株式会社に入社。三井物産では、ベネッセブラジル執行役員、海外EdTech投資責任者等を歴任。2017年4月にatama plus株式会社を創業。